豊田市美術館「奈良美智 for better or worse」展

こんにちは、コジです。豊田市美術館で開催中の奈良美智展へ行ってきました。

「for better or worse」ってどういう意味?

今回の展覧会のタイトルは「for better or worse」。

教会での結婚式に出たことがある人なんかですと、「ん?どこかで聞いたことあるな……」と思った人もいるのではないでしょうか。

そうです。結婚式の誓いのときに聞く言葉なんですよね~。「よいときも悪いときも、富めるときも貧しいときも、健やかなるときも病めるときも」というあれです。

「for better or worse」、すなわち「どのような運命になろうとも」という言葉は、奈良さんの描く女の子たちから私がずっと感じてきたことにとてもしっくりきて、ああ私が今まで感じていたのはそれだったんだと納得しました。

腕力的にも、知識的にも、社会的にも、経済的にも、ほかの大人たちに比べて何の力もない、小さくて弱い女の子が真っ直ぐにこちらを見詰めてくる。

けがをしていても、靴がなくても、ゆがむことなく、恐怖や不安を見せることなく、おもねることなく、自分の現状を受け入れて潔い澄んだ目をして立っている。

「女性の活躍推進」なんてお題目だけ言いながら結局まだまだ男性優位の日本において、この女の子たちの丸腰なのに不屈の強さを秘めた姿に励まされます。

奈良さんってどんな人なんだろう

実のところ私は、本人の写真を見るまで、失礼にも奈良さんを女性だと思っていました。なぜだかわかりませんが、名前も「美智」という表記ですから、「みち」さんなんだと確信していたわけです。

弱いものを強く描いているところに感動し、この絵は女性でなければ描けないもののように思えたんですね。

でも実際には男性で、本当にびっくりしました。

今回の展覧会は御本人が展示を担当されていて、導入部分に彼の感性を育んだ本やレコードやいろんなグッズが展示されていたんですが、よくぞここまで無事守られてきたなと思うような美しさで、奈良さんの人柄が染み出ていました。

汚くなったからとか、邪魔だからとか、もう要らないから捨ててしまおうとは思わなかったんでしょうね。

月の形をした小屋の中に入れるようになっていたんですが、その中にあるドローイングや小物も、奈良さんにとって大切なものを展示してあったんだと思います。友達に大事な秘密の隠れ家を見せてもらっているような、展覧会を見に来た私たちに心を開いて歓迎してくれているような気がして、とても暖かい気持ちになりました。

豊田市美術館という場所

この展覧会は何しろ奈良さんの頭の中をのぞくような感覚があったんですが、それは豊田市美術館の建物のつくりからくるものでもあったかと思います。この建築物の構造をうまく利用したすばらしい展示で、遠いところまで見に行ったかいがあったというものです。この建物、私はとても好きなんです。

ただし、ここへ公共交通機関で行こうと思うとアクセスがちょっと大変ですので、今回の展覧会の話からは離れますが、少しだけつけ加えておきます。

私は友人と豊田の駅から歩いて行ったんですが、15分程度で着くものの、最後にちょっとした心臓破りの坂があります。豊田駅からのバスがないものかと思うんですが、近くまで行ったとしても、さらにそこからまた結構歩かなければいけなくて、非常に使い勝手が悪いんです。

天気によって厳しい日もあるだろうと思いますので、自分の体調と空の様子を見つつ、いざとなったらタクシーを使われることをお勧めします。

とはいえ、豊田の駅から美術館までの道順については、要所要所に大変親切かつスタイリッシュな標識があり、これならだれも道に迷いようがないな、グーグルマップ要らずだなと感心しました。

あと、食事について!

午前中から行って一日ゆったりそこで過ごそうと思うと、美術館の近場にいい感じでランチが食べられるお店がほしいですよね。

ただ、車でない場合、あの坂をまた往復するのはちょっと厳しい……というわけで、どうしても館内のレストランで食べることになるかと思います。

2017年夏現在、豊田市美術館内のレストランは「TERRACE(テラス)」といいまして、チョイスはここ一択です。1,000円強でランチが食べられます。ランチ自身にドリンクがついておらず、つけたら1,000円超えました。

とにかく建物自体がすばらしいので、このレストランからの眺めもとてもいいことは事実です。庭に展示してある美術品も、庭自体も、下に広がる街の景色も大変気持ちよく、私が行ったときには雨が降っていたのですが、雨が降ってもまた美しい眺めでした。

お料理自体は、残念ながら特筆すべきところなし。数年前行ったときには、たしか「七州」というレストランが入っていて、何だかとてもおいしくいただいた上に、コーヒーとデザートまでついて1,000円以内で食べられたような気がするのですが、変わってしまって残念です。前がよかったという印象があっただけに、かなりがっかり

豊田市美術館でゆっくり一日過ごせるようにするとしたら、例えば、移動販売のキッチンカーなどで軽食を売るとか、ミュージアムショップでおしゃれな食べ物を売り、館外の決まった場所なら食べていいことにするとか、ちょっとした工夫をしていただけるとうれしいなと思いました。

あと、これは難しいんでしょうが、アクセスが何とかならないものか。せめて1日3本でいいから、豊田の駅からバスを走らせてほしいものです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする