こんにちは、コジです。京都国立博物館にて開催中の「国宝」展へ行ってきました。
明治30年(1897年)に京都国立博物館ができてから120周年目となる2017年。「国宝」という言葉ができたのも同じときだったそうで、「国宝」が生まれて120周年という節目に、同じ120年の歴史を持つこの博物館で開かれる展覧会とのこと。何だかすごそうですよね。行けないだろうと思っていたのですが、たまたま出かけられる状態になったので、えいや!と出かけました。
覚悟の上ですが、やっぱり混雑すごかった
200件以上の国宝が一挙に集まる展覧会ですから、すごく混むのは当然のことなんですが、今回は完全に失策でした。早目に行って朝イチから並ぼうと思っていたのですが、寝坊して出遅れたのが運のつき。9時半開館のところ、私が10時に会場に着いたころには既に行列が……。
まずは敷地内に入るために4列でしばらく並び、入り口でチケットが必要な人とそうでない人に分けられ、そこからさらに70分待ちでした。絶好の美術館めぐり日和とも言えそうないい天気で、しかも休館日明けの火曜の朝というのが拍車をかけたのか、すごい人でした。
ただし、待ち時間を盛りぎみに言っているのか、実際にはそれほど待たずに中へ入ることができました。しかも、作品の一つ一つが大きいのか、展示の仕方がうまいのか、正倉院展よりも断然見やすくて、きちんと1点1点見ることができました。
さらに、割と地元のお客さんも多いようで、聞こえてくるのが優しい関西弁(京都弁?)なんですよね。待ち時間の長さについて不平を言っていてもイライラ感が全くなくて、むしろおもしろがっている感じなので、それが聞こえてきて私も笑っちゃったりして、心穏やかに待ち時間を楽しむことができました。
後で聞いたところによると、私が行った日は、開館の1時間以上前から並んでも40分待ちだったとか。やはり人気の展覧会だと朝から午後の早い時間ぐらいまではずっと混雑が続くんですね。夜間開館している金曜日か土曜日の5時前後に入ると比較的ましだよと教えてもらいました。せっかく教えてもらっても今回は時既に遅しでしたが、また人気の展覧会に行く機会があれば、そうしてみようと思います。
出品されていた国宝は?
出品されたのは会期を通して全部で200件ほど。当然ながらすべて国宝です。
新しくできた平成知新館のほうが会場になっており、展示期間が4期に分かれていて、その中で展示替えがおこなわれ、各期によって見どころが違っていました。
私が行ったのは第Ⅲ期。はるか昔に社会の授業で習った金印が出品されていました。金印というのは2cm四方の小さなもので、最前列で見るためにはまた行列に並ぶ必要がありましたが、私はそれほど金印に執着はなかったので、外から眺めて満足しました。
縄文時代の土偶(縄文のビーナスと仮面の女神)をじっくり眺めたり、長谷川等伯の松林図とその早逝した息子・久蔵の桜図に親子の思いを感じたり、油滴天目の美しさにただただ目を奪われたり、仏画や絵巻物の退色した淡い色彩に当初はどんな姿だったのだろうと思いをはせたり、さすがにどれもこれも見ごたえがありました。
図録がまたすごい
とはいえ、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅳ期に出品された品々を見ることができなかった私は、珍しくも図録を買いました。これがすごかった!
全部で約400ページ。出品されたすべての品のカラー写真が掲載され、解説も充実しています。厚さ3.5センチ、重さ1.6kg。
衝動的に買ってしまってから、持ち帰るのがしんどいことに気づいて若干後悔しましたが、今年のお正月はこれをゆっくり眺めて雅に過ごそうと思っているところです。あまりの重さに肩が抜けそうになりながら京都を後にしました。
正倉院展と国宝展
今回の旅では、まず奈良で正倉院展を見て、次の日に京都で国宝展を見ました。
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双方ともに歴史ある宝物が展示されていたわけですが、この二つの展覧会を堪能するに当たっての最も大きな違いは、予習の必要性なのかなと思いました。
正倉院展のほうは、ばっちり予習をしていればいるほど、より楽しめそう。出品の品々を取り巻く背景や、それにまつわるほかの品々を知っていると、感動が大きいのではないかという気がします。想像力が必要という感じがして、何年にも渡って何度も足を運べば運ぶほど、どんどん楽しくなってくる展覧会なのだろうと思いました。
国宝展のほうは、とにかく1点1点の圧がすごかった。もちろん予習をしてもいいんでしょうが、いきなり見て、その場でちょっと解説を読むぐらいでも、かなりの凄みが感じられました。それが「国宝」たる品々の力なんでしょうね。
私自身に関して言えば、今回の二つの展覧会で、書跡が全く理解できなかったことが無念でした。両展ともすばらしい書が出品されていたと思うんですが、全く見方がわからなくて歯がゆい思いをしたので、ちょっと書の見方を勉強したいなと思っているところです。
いずれにせよ、目がチカチカするほどの宝物をどっさり堪能し、おなかいっぱいの幸せな2日間でした。