こんにちは、コジです。今日は、前記事からの続編で、ウイルスは人間の天敵なのか?というお話です。
[前記事1:改めて、ウイルスとは何ぞや]
[前記事2:21世紀はコロナの時代!? パンデミックとその収束]
今回の新型コロナウイルスのパンデミックのおかげで、ウイルス全体が悪いヤツってイメージになっていますよね。でも、石弘之氏の『感染症の世界史』によると、人間という種の生存のために、ウイルスの存在は必須なんだそうです。
それってどういうこと? 我ら、コロナウイルスで今めっちゃ困ってるんですけどーって思いますよね。ところが、ウイルスってば、実はアッと驚くナイスな働きをしてくれていたんです。
ウイルスがヒトの進化の原動力となっている
[前記事1]でウイルスの正体は遺伝子であるという話をしましたが、人間の体には、ウイルスがいっぱい入り込み、せっせと増殖しています。皆さん、一体どのぐらい入っていると思いますか?
ゲノムが2003年にすべて解読されたという話を聞いたことがあるかもしれませんが、何と、私たちの遺伝子全体の約半分はウイルスに由来するんだそうです。びっくり!
遺伝子には2通りの移動方法があります。一つは親から子への移動、もう一つはウイルスによる生物の個体間の移動です。
遺伝子の移動方法として、親から子への「垂直移動」よりも、ウイルスでの個体間の「水平移動」のほうが、より速く、より多く変異できることがイメージできますでしょうか。水平移動ですと、別の遺伝子を取り込む機会が圧倒的に多いですよね。
ウイルスに感染した生物は、そのウイルスの遺伝子を自分の遺伝子に取り込んで突然変異を起こし、多様な遺伝情報を持つことができたので、実はそれが原動力になって進化が促進されてきたんだそうです。
親子間の垂直移動よりずっと速く進化し、周囲の環境の変化に適応できたから、人間もこれまで生き抜いてこられたのかもしれません。また、生物多様性条約なども結ばれていますが、環境に慣れながら生物が生き延びていくため、遺伝的にも多様性があるほうがいいんですね。犬や猫でも、純血種より雑種のほうが病気にならなかったりしますでしょ。
もしウイルスがいなくなったら、遺伝子が移動する機会が親子間の垂直移動だけになり、環境への適応は遅れるし、何か不具合があったときの遺伝子の修復も遅くなり、進化どころか、種の存続さえ危ぶまれそうです。
ウイルスが哺乳動物の胎児の誕生を守っている
それから、これも石先生の本に書いてあってすごいなと思ったんですが、ウイルスがいないと人間は生まれられないんだそうです。
哺乳動物は、母親から赤ちゃんという形で生まれてきますよね。でも、胎児の半分は父親由来なので、本来ならば母親の免疫系に異物と判断され、排除されるはずなんです。異質な存在なのになぜ母体の中で維持されるのか、その仕組みが長く謎とされてきました。
これ、実はウイルスのつくる膜のおかげだったんです。この膜に守られ、母親のリンパ球が胎児に入るのが阻止されていたとのことです。
ウイルスのおかげで赤ちゃんが無事生まれるなんて、まさかの事実でした。
卵から孵化しないといけない場合、卵の時点でほかの動物に食べられちゃったり、うまく孵化できなかったり、孵化できても生き残れなかったり、圧倒的に生存率が低いんだそうです。
哺乳動物がここまで繁栄できたのは、胎児として誕生するため、生存率が高いからなのかもしれませんね。魚や虫なんて、あんなに卵を産むのに、それにしては大人になれる個体の数が少ないですもんね。
どうやら人類の繁栄はウイルスとともにあったと言えそうです。
人間も生態系の一部である
そろそろ私たちは、人間も生態系の一部にすぎないことを思い出したほうがいいのかもしれません。
[前記事2]に書いたように、人を死に至らしめる新型コロナウイルスの出現した原因が人口増加だとしたら、はっきり言って、生態系を保つための調整がごく順当に入っているだけと考えたほうが自然なんですね。
だからといって、弱肉強食に従い、弱い者が一定数死ねばいいと言っているわけでは当然ありません。
ただ、私たちは傲慢ではなかったか、私たちの生活は今後もこのままでいいのかと、もう一度本気で考えるときが来ているのではないかということです。
昨今SDGsということも言われますが、実際、気候変動は少なからず起こっています。地震や豪雨や台風による災害も年々大きくなっています。氷河が融け、海水面が上がり、砂漠化が進んでいます。また、海のプラスチックの問題も想像以上に厳しい状況です。原発のごみだってたくさんありますし、福島も何とかしなければいけない。
問題山積なのに、そういうことを、やっぱり私自身、肌身に感じていないんだなと思います。だからコロナが起こってくれている。何となくそんな気がしてしようがないんです。そう思うと、コロナもありがたい存在です。
生態系の掟は厳格です。それが自然界の営みであり、私たちは、どうあがいてもその一員です。現実からは逃れられません。人間だけに特別枠が用意されているような気分で、これまで地球の資源を好きなように使ってきましたが、もうそれはやめないといけないんですね。
自分だけ、もしくは自分の孫ぐらいまでだけが楽しく生きられればいいと思いますか?
その後、地球がどうなってもいいと思いますか?
私も全然立派な人間ではないので、大したことはできないんですが、私たちを住まわせてくれている地球を大切にしたいなぁとは思うんです。
というわけで、ひとまず小さいところから始めることにしました。本当にできることしかできないんですけどね~。何を始めたのかは、追々ご紹介していく予定です。
嫌なヤツかと思いきや、実は福音かもしれないコロナさんとともに、もうしばらくうまくやってまいりましょう!