愛知県陶磁美術館「染付:青絵の世界展」がズバリよかった!!

こんにちは、コジです。

先日、リニモ沿線にある名都美術館で始まった念願の「志村ふくみ展」を見に行くついでに、せっかくだから、その日が最終日の愛知県陶磁美術館「染付展」ものぞかせてもらおうと思って寄ったこの展覧会。何と、非常によかったんですー!!

とはいえ、「志村ふくみ展」も予想どおりすばらしかったので、そちらに御興味がおありの方は別記事をどうぞ。

そして、「リニモ」って何やねんと思われた方は、こちらの記事をどうぞ。

関連記事:日帰り「リニモ1DAYフリーきっぷ」で展覧会2件とIKEA長久手へ

愛知県陶磁美術館

私、この愛知県陶磁美術館というところへは今回初めて行きました。

リニモの駅名にまでなっているのだから、駅から近いのだろうと思いきや、意外に遠かったという話は上記リニモについての記事でお伝えしたところですが、とにかく広い敷地にまず驚きました。敷地が広いため、美術館の入り口までの道のりが遠くなるわけですね。

見渡す限り敷地なんじゃないの?と思うほどわわーっと開けていて、冬だったので芝生が枯れていましたが、いい季節なら一面グリーンの芝生で本当にきれいなんじゃないかと思います。

そして、館内の展示スペースも、それはそれは広かった。全体を1時間半ほどで見るつもりが、特別展だけで2時間かかり、さらに常設もじっくり見たら倍以上かかるだろうという状況で、すばらしい常設展示は泣く泣く1時間でさーっと見て、後ろ髪を引かれつつ、急いで併設のレストランで蕎麦をすすって出ました。

このレストランのお料理は、最初からそれほど期待もしていませんでしたが、予想を下回るクオリティでした。

数種類しかないメニューから私が選んだ山菜蕎麦は、3ミリ厚のかまぼこ、ほぐれておらず下のほうで固まっている麺、甘いばかりの汁といったところまではまだ許すとしても、惜しむらくは器

何でプラスチック? せめて器を地元の陶磁器にしてくれていたらもう少し納得できていたかもしれないのに、本当に残念な思いです。レンゲと湯のみは辛うじて焼き物でしたし、いろいろな理由があってこの器なんでしょうが、陶磁美術館というからには何とか頑張っていただきたかったなという気がしました。

特別企画展「染付」

それはさておき、展示のほうは本当にすばらしかったですよ。

リニモの一日乗車券を持っていたおかげで何と観覧料が2割引になり、一般900円のところを720円で見ることができたんですが、信じられないほど高いクオリティとボリューム!! あるところにはあるんですねぇ。

作品リストが今回ないとのことで、細かいことはわからないんですが、大きなものから欠片まで、9世紀のものから17世紀以降のものまで、ヨーロッパのものから日本のものまで、染付という技法が生まれて展開してきた様子を一望できるすごい展示でした。

私、ほんの数日前に染付技法がシルクロードを往来したことを端的に見せてくれるすばらしい展覧会をたまたま中部大学で見ていたので、「染付」という言葉からすぐに「シルクロード」というキーワードが浮かぶ状態にあり、シルクロードを通って染付の焼き物が東洋と西洋を行き来し、互いの好みが入り混じって不思議な作品ができ上がっていく様子を自然につかむことができました。

中部大学民族資料博物館内の小さな一区画で河本礫亭の作品群の後ろに広がる世界をぼんやり見ていたのが、今回の展覧会でよりくっきりした感じです。

関連記事:中部大学民族資料博物館の企画展「河本礫亭・五郎とシルクロード」に滑り込み!

染付とは

では、そもそも「染付(そめつけ)」というのは何なんでしょうか。

1600年ごろ日本イエズス会が出した日本語・ポルトガル語辞書には、「絵のあるちゃわん、さら」と定義されているそうです。つまり、筆を使って何らかの模様が染めつけられた焼き物ということだったんですね。ですから、別に青くなくても、何色でも、絵が描かれていればそれは「染付」だったわけです。

私は青色で絵が描かれた焼き物のことだとばかり思っていたんですが、「染付」というのが特に青い絵のある焼き物を指す言葉へと変わっていったのは、17世紀肥前・有田窯で染付の技術が完成した以降のことなんだそうです。

世界各国で染付がつくられているのと同じように、やはり日本各地でも染付がつくられたんですね。有田焼というと、私は今まで染付のイメージがあまりなかったんですが、今回の展示には有田の染付がたくさんあって、しかもどれもすごく立派でよくできていて、染付といえば日本では有田ということなんだなと、それも一つの大きな発見でした。

世界の染付

日本では、有田を初め、もちろん瀬戸、美濃、京など、いろいろなところに染付があることがわかったんですが、では、世界ではどこが有名なんでしょう。

やはり一番大きいのは中国景徳鎮だったようです。今に残っている作品の質なり量からも、生産の規模が全くほかと比較にならないほど多く、職人の質もすごくよかったのであろうことが見てとれます。また、景徳鎮のものをまねした染付の焼き物がタイベトナムインドネシアでつくられ、それがヨーロッパ日本にも輸出されていたことがわかりました。

それから、茶道で使う道具としてデザインを指定して景徳鎮でつくらせて日本へ輸入したものがあったり、ヨーロッパ人好みのものをつくってアジアから出していたり、オランダで中国のものをまねてつくったものがあったり、不思議にいろいろな要素が融合したものをたくさん見ることができました。

おもしろかったのは、オランダのデルフトで景徳鎮のものをまねてつくられたものがあったんですが、何だかやっぱり人の顔が西洋人に見えるんですね。アジアでつくられたものは、ちゃんと東洋人に見えます。まねしているのに、やっぱり顔が自然に違っちゃうというのは笑えました。

そんな中でも、私がなぜか心ひかれたのが、ベトナムの染付でした。ちょっと生地の色がクリームがかっていて、そこに少し濃い目のブルーで模様が描いてあります。やはり景徳鎮の影響を受けてつくられるようになったようで、別に特別うまいというわけではないのですが、素朴で優しい感じがして、もし買うならベトナムのものが欲しいなと思いました。

常設展示もすごい質と量だった!

予定していた時間を大幅にオーバーしつつ「染付展」を見終えた私は、もう常設展示は諦めようと思っていました。

ところが、フロアに出てふと下を見ると、地下に現代物が展示してあるのがちらっと見えるじゃありませんか!!

わーおぅ、ステキ!と、ついつい足が階段をおりてしまい、地下の現代作家の作品を見ることになりました。

ここで、はからずも先日中部大学で見た河本礫亭さんの養子である河本五郎さんの作品に出会いました。中部大学には生地を生かした荒々しい感じの作品が展示してありましたが、ここにはブルーのつややかな釉のかかった鉢があり、違った側面を見ることができました。

作品にロックオンされて足がとまりそうになるのをぐっと我慢しつつ、こうなってくると2階もかなり期待大だなということで、そちらも一応さーっと見ようと決意。いそいそと2階へ上がりました。

2階では、「日本と世界のやきもの」と題して、これまたすごい量と質の展示が繰り広がっていました。ううっ、これはまた時間がかかりそう。

しかも、一番最初に目に入ったのが、薄暗い中に浮かび上がる縄文土器

縄文土器に目がない私としては、ここで足をとめないわけにはいきませんでした。でも、いつもよりも時間は短目にして、また今度ねと思いつつ先へ進みます。

しかし、いくら進もうとしても目がとまるものがあり過ぎて、本当に急ぐのが難しい常設展でした。いやはや、ため息が出ます。しかもめっちゃ広くて、スペースゆったり。後でホームページを見たら、ここには7,000件超に上るコレクションの中からピックアップされた600件の作品が展示されていたようです。

日本各地、世界各地の陶磁器の歴史がすごいスケールで紹介されていて、特に焼き物がお好きな方には一見の価値がある場所だと思います。1年で展示がえがあるようなので、4月1日からはまた違うものが見られます。

企画展もさることながら、常設展も本当にすばらしかったので、またここをメインに1日がかりでゆっくり来ようと思っています。今度は気候のよい時期に、企画展のテーマをにらみつつ、ぜひとも落ち着いて常設展示を見たいところです。

いい美術館を見つけました!!

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