第69回正倉院展に行ってきました

こんにちは、コジです。見に行きたいとは思いつつも、日程が合わなくてなかなか行けなかった正倉院展へ、初めて行ってきました。

正倉院展とは

そもそも「正倉院」とは何かといいますと、奈良時代に「正倉」と呼ばれる倉庫を国や大寺院などがそれぞれ持っていたのですが、その倉庫があった区画を広く「正倉院」と言っていたそうです。そのうち今も残っているのが東大寺のもののみということで、これが固有名詞となって今の「正倉院」という呼び名になっているんですね。

では、なぜ東大寺の倉庫をみんながそんなにありがたがるのかといいますと、この倉庫に保管されている宝物がすごいからなんです。大きなものは聖武天皇の遺品ですが、そのほかにも、大仏の開眼に当たって皇族や貴族たちが献納したものや、東大寺の各種法要で使われた道具類や、ペルシャや中国など海外の国々から伝来したものが含まれています。

正倉院展は、伝統的に虫干しが秋に行われていたことから、秋にのみ倉庫が開けられるため、それに合わせて毎年この季節に行われています。昭和21年に始まり、毎年60件ほどを一般の人々に見てもらえるようにしているわけです。

第69回正倉院展

今回は、この正倉院展の奈良国立博物館での第69回目の開催ということで、計58件の宝物を見ることができました。このうち10件が今回初めて披露されたとのことです。

私が会場に着いたのは1時40分ごろでした。よく晴れた日で、会期中無休とのことだったので、あえて月曜に行ってみましたが、これが吉と出るのか、凶と出るのか。この時点で入場までの待ち時間は10分程度。たくさんのお客さんが並んでいますが、10分程度なら全く問題ありません。

 

建物の外の仮設のロッカーに荷物を預け、いざ中へ。

通常の展覧会なら順路に沿って一つ一つ展示品を見て回るんですが、やはりこの規模の展覧会の場合はどこからでも自由に見る形式ですね。すいているところを見はからって、好きなように順次見る感じでした。

中はとにかくすごい混雑で、特に人気の宝物の前には幾重もの人垣ができ、全然動きがとれませんでした。今回私が苦戦したのは、べっこう飾りの杖と琥珀の念珠です。特に琥珀の念珠に関しては人垣が全く崩れず、おしくらまんじゅう状態でしばらく頑張ったのですが、はるか遠くにちらっと見えた程度でギブアップしました。皆さん、すごい熱気です。

この日の混み具合はどうだったのか。いつもはどれほど混雑しているんでしょうね。土日は当然すごいんでしょうが、平日の、しかも月曜ということで、普通に考えると空いているほうだったのではないかと想像しつつも、実際のところは不明です。天気がよかったので、その分混んでいたということは言えるかと思います。でも、琥珀の念珠以外は大体何となく見ることができました。

落ち着いて宝物と対峙し、じっくり味わうという感じではなかったものの、ここまで丁寧に実直に昔のものを保管してきた人たちの連綿と続く情熱と、当時の最高の技術でもってしつらえられた品々の美しさと、海外から渡来したいろいろな事物を存分に吸収した天平文化の豊かさを感じるひとときでした。

地下の回廊から「なら仏像館」へ

その後、お手洗いを使おうとしたものの、こちらもすごい行列のため一旦あきらめて、若干ぐったりしつつ地下の回廊から「なら仏像館」へ移動しました。

こちらも正倉院展の半券で見られるんですが、正倉院展だけで帰られる人も多いのか、ぐっと人の数が減りました。ここはとにかく仏像だらけで、いろんな種類の仏像が展示してあります。お顔がみんな違っていて、その表現が一番おもしろかったんですが、姿勢の違い、組んでいる印の違い、衣装の違い、材質の違いなど、ほかにも見るべきところは多く、興味深い展示でした。

そして、仏像館の一画に渡り廊下があり、そちらへ進むと「青銅器館」へつながっていました。

意外にもここがよかった!!

青銅器というと一般的にはマニアックなのか、仏像館よりさらに人数が減り、何にも邪魔されることなく、かなりじっくり見ることができました古代中国、商(しょう)・殷(いん)から漢(かん)までの青銅器のコレクションです。

ここはもともと収蔵庫だったところのようですが、不言堂という古美術商店の社長であった坂本五郎氏から中国古代の青銅器のまとまったコレクションが寄贈されたことから、ここをその展示施設にしたそうです。

青銅器の、グリーンの濃淡を基調に、ベージュや紺や黒やバーガンディーも混じりながら、まだらになった何とも言えない色合い、また、ちょっと縄文土器を思わせるような模様や細かい細工、今の日常生活では見ることのない道具類の形状に目を奪われました。

青銅器のみがガラスケースの中にぎっしりと展示された展示室の雰囲気も、何だか不思議でよかったですよ。

おまけ

そんなわけで、4時ごろまで奈良国立博物館を堪能し、宿泊先へと向かいました。

途中、さすが奈良だけに、鹿がごろごろ見られました。気軽にそこらにいますが、やはりあれは野性の鹿なんですね。こんな看板がありました。

そろそろ紅葉も美しくなってきて、それでもそれほど寒くはないという、大変よい季節に奈良を訪れることができました。

明日は京都へ移動して「国宝」展です。

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