はじめまして、コジです。「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」を観てアドレナリンが出まくり、「この感動をだれかに伝えたいーー!!」と思った勢いでブログつくっちゃいました。
この映画は、ずば抜けた才能を持つバレエダンサー、セルゲイ・ポルーニンの現在までの経緯を追ったドキュメンタリーです。後で知ったところによると、世間ではいろいろゴシップ的なことを言われている人らしいんですが、そんなことをぶっ飛ばして、とにかくとにかく、涙が出るほど美しかった。
以下、勢いで書いたんで、今読むとちょっとこっ恥ずかしい文体なんですが、そのままアップしたいと思います。
ダンサー、セルゲイ・ポルーニン
「野獣」を「粗暴・獰猛な人物」と定義するのなら、当然ながらポルーニンは「野獣」ではない。むしろ愛を求める繊細な青年と言えよう。彼は家族を一つにしたくて、ただ家族の愛が欲しくて、類まれなる資質を武器に、人並みはずれた努力でスターダムを駆け上がった。
というのも、彼はウクライナの田舎町の貧しい家庭の生まれで、バレエ学校へ通わせる学費を捻出するために、彼の父も祖母も外国へ出稼ぎに行かなければならなかったからだ。そんな中、彼とともにキエフに出た母は厳しく彼を管理し、彼は必死でそれに応えた。心が納得できないままに技術だけはどんどん上達し、求められることをこなしていく日々。母の導きによりロンドンでさらに研鑽を積んだ後、19歳で史上最年少のロイヤル・バレエ団のプリンシパルとなったころには、既に両親も離婚し、家族はばらばらになっていた。
そもそも家族を愛するがゆえに踊っていた彼は、完全に目的を見失う。全身の刺青、鬱病、ドラッグ、過激な発言、そんなニュースばかりが流れ、バレエ界の異端児と称されるようになった。しかし、私にはこれは優等生の遅めの反抗期としか思えない。なぜなら彼は、クラシックバレエを踊る自分をぶち壊そうとはしなかったからだ。例えば暗黒舞踏のような地に埋まっていくダンスを志向したわけでもなく、コンテンポラリーに走るわけでもなく、あくまでも重力から解き放たれようと天上界を目指しているように見える。
苦悩の中でロイヤルを電撃退団した彼は、ホージアのヒット曲「Take Me To Church」のMVで最後のパフォーマンスをしようと決めた。映画ではこの映像が1曲分流れるが、歌詞の字幕に気をとられるのが惜しいほど美しい。写真家であるデヴィッド・ラシャペルが監督し、ポルーニンがこれでダンスをやめる覚悟で踊ったこの映像は、ユーチューブで2,000万回以上再生され、多くの人たちの心を揺り動かした。ロイヤルの舞台ではファンデーションで塗り隠している刺青をそのまま見せ、彼自身の焦燥、不安、怒り、恐れ、悲しみ、今までの思いをすべてさらしている真摯な姿に胸が詰まった。
このMVへの世界中からの大きな反響を受け、ポルーニンは髪を剃って次の舞台に挑む。それまでは家族の劇場での観劇をずっと拒んできたのだけれど、氷が融けたように、両親と祖母を招待することにした。公演の後で家族と会話している映像からは、誇らしくもはにかんだ表情が見てとれる。また、このドキュメンタリーには、彼が最初に通ったダンススクールを訪れるシーンがある。当時習っていた先生と再会したときの優しい笑顔に、素直で、真面目で、純粋な彼の素顔が透けて見え、うっかり涙がこぼれた。
華やかな成功者に見える人が本当に幸せなのか、それは外からは推し量れない。才能ある者が辛い人生を歩み、その重みに耐え切れずにつぶれていく例もよく聞かれる。たとえどんなにすばらしいパフォーマンスをし、たくさんの人から賞賛されているように見えても、本人は、自分の求める愛が得られることは少なく、広い振り幅で揺れ動く感情をコントロールできなくなるのだろう。
彼の場合、ロイヤル・バレエ団退団後、ロシアに移り住んでからイーゴリ・ゼレンスキーという人物との出会いがあった。ゼレンスキーは彼を導く父のような存在となっていく。そして、彼を理解してくれるよき友人たちもいた。加えて、ラストダンスと心に決めて踊ったMVに世界中から大きな反響があった。人生の苦難を一つ乗り越え、とてもいい顔になったセルゲイ・ポルーニンの今後の活躍を心から期待している。
とにかく観て!
シャイでストイックなイケメン好きのあなた、観て損なしですよ~!
いやいやぁ~。私見で恐縮ですが、そのダンスはもとより、とにかくはにかんだ笑顔がステキ過ぎるんです。来日したら必ず見に行くことを誓いまっす!