祖母の犬張子香合のナゾが解けた!

こんにちは。最近やっと正月気分のコジです。

今日は、祖母が大事にしていた香合の意味が苦節40云年にしてついに判明しましたので、皆さんにも笑っていただきたくて記事にしてみました。

驚きのルックス

我が家では客間に干支の置き物を必ず飾ることになっていて、いろいろな素材やデザインで都合12パターンあるわけですが、昨年末、例のごとく今度は戌年のものにとりかえよう!ということになりました。

戌年は白い日本犬の陶器の置き物が登場。12年ぶりに会いました。12年たつと、もううちの犬がどんなものだったかすっかり忘れているのが情けないのですが、凛々しい男前のワンコが客間のメインポジションに飾られ、丸っこい鳥が12年の眠りにつきました。

それに乗じて、決して忘れられない犬がもう一匹出てきたわけです。それが今日の話題の犬張子の香合です。

香合というのは、お香を数個収納するための蓋つきの小さな入れ物です。お茶のお手前などで使われます。

でもって、犬張子といえば、かわいらしいこんなものを想像しますよね。

ところが、うちのは、箱には確かに「犬張子」と書いてあるんですが、どう見ても顔が人間の女の子なんです! それも、何といいますか、貫禄十分。。。

ちなみに、これが箱書きです。右側に「萬古窯 犬張子 香合」となっていますよね。

現物を見ます? 見ていただけます?

どどーん。これがうちの犬張子の香合だー!

ちょっとびっくりしませんか? 大きさとしては、7×5×4cm程度の小さなものです。

蓋をとると、こんな感じです。

祖母が実家から持ってきたものだそうで、戌年になるといつも出してきて飾ろうとしていたんですが、どう考えてもかわいくない(あ、言っちゃった。)ということで、12年前も私がそのルックスを非難して隠してもらっていました。

それが今年も出てきて、やっぱりちょっと人面が怖かったので、飾らないでおこうかと言っていたのですが、どうも気になって調べてみたんです。

ナゾ1:なぜ人面なの?

結果、調べてよかった! いろいろなことがわかってきました。

何と、1200年も前から現在の犬張子の原型となるものがあったのだそうで、当時は「犬筥(いぬはこ)」と呼ばれ、人間の子供の顔と犬の身体を持っていたらしいんですね。まさにこれだー!!

昔は高貴な人たちがお産をする部屋に置いたとか。汚れをぬぐった紙を入れる箱だったということで、つまり今でいうゴミ箱の超高級品といったところでしょうか。

尾張徳川家の雛飾りにも一対の人面の犬張子がありました(参照URL)。

狛犬に起源を持つそうですから、つまり邪気払いをするということなんでしょう。この説からいくと、うちのは顔の向きからいって右側のほうみたいですが、特に箱には対のものがあるような記載はありませんし、用途も香合ですので、もともと一つだったのではないかと思われます。

そもそも、犬は昔から安産の守り神とされています。理由としては、お産が軽くて多産だからという話もありますが、犬が悪霊を防ぎ狐狸から子供を守ってくれるからという話もあるようです。

祖母の御両親は、二次大戦の最中、祖母が19歳で遠方へお嫁に行くということで、これを持たせたのだろうと思います。そのおかげもあってか、無事に祖母は終戦の年の昭和20年3月に20歳で父を産んでいるわけで、40云歳でひとり気楽にのほほんと生きている私なんぞにははかり知れない激動の中を生き抜いたのだなと、今さら思いました。

ナゾ2:誰がつくったの?

ところで、この不気味な(まだ言うか!)犬張子の作者は誰なんでしょう。

箱書きを頼りにググってみたところ、祖母の実家のあった三重県桑名市萬古(ばんこ)を焼いていた加賀月華さんという方の作だということがわかってきました。

この方の本名は常次郎なのですが、雅号が月華であり、清香堂とも自称されていたため、箱の左側に「清香堂 月華造」と書いてあったというわけです。

大正11年に35歳で築窯して生産を開始し、昭和12年に享年50歳で逝去されていました。若くして亡くなられたんですね。

うちの祖母は大正14年の生まれで、昭和19年に我が家に嫁いでいるので、この方が亡くなられてから、何らかの縁で手にした犬張子を持ってうちへ来たようです。

祖母のつてで私の母も桑名市からうちへお嫁に来ているのですが、驚くことに、この犬張子の作者である加賀月華さんのお墓が、母の実家の町内の光徳寺というお寺にあったんですよ! 本当に不思議なこともあるものです。

先ほど母にその事実を伝えてみたんですが、全然知らなかった様子。「おばあちゃんに教えてあげたらびっくりしただろうね~」と。祖母は数年前に亡くなってしまったんですが、なぜか持ち主である祖母ですら犬張子の詳しい由来は知らなかったみたいなので、伝えてあげたかったなと思いました。

母も、おかげでと言っていいのかどうかわかりませんが、お嫁に来て1年後には私を産んでいます。私が生まれた当時、祖母は48歳。今の私といくつも変わらなかったんだなと思うと、何だか感慨深いものがありました。

何とかかわいい角度を探そう!

というわけで、何とかこいつがかわいく見える角度を探るべく、いろいろなポーズをとらせてみました。

まず、縦にしてみた。あんまり変わりませんかね。

では、振り返りぎみに。なかなかいい?

見上げてみる。ちょっとセクシーですか。

うーん。やはりなかなか難しいですよね。

いっそ後ろ姿とか!? 哀愁が漂います。

そんなこんなでいろんな角度から撮影していたら、えらいもので、何だかかわいく思えてきました。今年はこれを一年飾っておこうと思います。

しかし、なぜ今まできちんと調べなかったんだろう。新年早々、目からうろこが落ちまくりです。今年は不思議に思ったことはどんどん掘り下げて調べていくぞー!と決意したコジでした。

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