三重県桑名市の名産「しぐれ」の名店のお話

こんにちは、こじです。

皆さん、三重県桑名市の名産「しぐれ」をご存じですか?

時雨」とも「志ぐれ」とも書きますが、貝類を醤油と砂糖と生姜でしぐれ煮にしたものをいいます。今日は、おススメのお店のご紹介とともに、とりとめのない「しぐれ」考を少しばかり。

ハマグリにすべきか、アサリにすべきか、それが問題だ

私は、祖母及び母の実家が三重県桑名市だったこともあり、子供のころからずっと「しぐれ」が食卓に常備されていました。

桑名といえば、「その手は桑名の焼き蛤」でハマグリが有名ですので、多くの方はパッとハマグリのしぐれ煮を思い浮かべるかもしれません。

確かに、ふっくり炊かれたハマグリのしぐれ煮もよいのですが、うちに常備されていたのは、もっぱらアサリのしぐれ煮でした。

ハマグリにせよアサリにせよ、おにぎりの具、お酒の肴、そのままご飯とともに、もちろんお茶漬けにも最高なんです!

とはいえ、あえてどちらかをオススメするとすれば、日常の食卓用になら、ハマグリより柔らかく、リーズナブルで手に取りやすいので、私は断然アサリ推しです。ご飯と一緒に炊いて味ご飯にするのもナイスです。

端唄「桑名の殿さん」

この「しぐれ」で私が一番よくする食べ方は、やはりお茶漬けです。2位はおにぎりの具かな~。おにぎりは梅干しとしぐれが定番です。

お茶漬けというと、こんな歌があるのをご存じですか?

桑名の~殿さん しぐれで~茶々漬け ヨ~イトナ~

端唄「桑名の殿さん」

私、小さいころから祖母がこの歌を歌うのを聞いて育ち、桑名藩主でもお茶漬けを食べたんだ!と信じていたのですが、このたびそれは間違いだったかもしれないことに気づきました。

明治から大正にかけて米相場でもうけた桑名の大旦那衆のことを「殿さん」と呼び、東京の料亭での酒宴で芸者衆と大いに遊んだ桑名の大旦那衆が、宴会の最後にしぐれで茶漬けを食べた様子を歌ったものとのこと。(異説もあるようですが……)

何と!酔っ払い成金の締めのお茶漬けの話だったんかーい!と目から鱗が落ちました。

この時期、日本各地でその土地の名物や名産を自慢する歌ができていたようですので、その一つだったのかもしれませんね。

前に仕事の参考のために読んだ本に、わが町自慢の歌について詳しく書かれていてとても興味深かったので、ご関心のある方はぜひ。

「詩歌と戦争」中野敏男

「しぐれ」を買うなら?

雑談はさておき、じゃあどのお店で買うべきなの?というお話です。

・伊勢志ぐれ

まず、現在我が家の定番になっているのが 伊勢志ぐれ さんです。ここ20年以上、このお店の「あさり志ぐれ」で定着しています。ほかより身が柔らかくて食べやすいと思うんですよね~。

参照(公式サイト): 株式会社 伊勢志ぐれ

手づくり感満点でレトロなサイトが素敵でしょ?

製品もきっと実直につくっておられるのだろうことが想像できて、むしろ私は変に美しいサイトよりも気に入っています。

お土産にするのも必ずこれなんですが、渡したうちのかなりの確率の人がはまり、「次に桑名へ行くときはあれを買ってきてね」とリピートのリクエストを受けるんですよ。

最近コロナ禍でなかなか実店舗に行けず、ネットから買えないかと調べたら、楽天とかアマゾンとかではないのですが、オンラインからも購入できるようになっていたので、先日購入してみたところです。

大変気持ちよくお取り引きできましたので、興味のある皆さんは、ぜひ一度お試しあれ。

・貝増

貝増 さんもいいですよ~。伊勢志ぐれさんにする前は、ずっとここでした。祖母のお気に入りで、長くお世話になったなぁ。

参照(公式サイト): 貝増

ここは、電話かFAXでお取り寄せ注文ができるみたいですね。ハマグリでしたら桑名産の貝も扱っておられるようなので、国産にこだわりのある方はこちらをどうぞ。

・貝新

しぐれといえば「貝新」でしょ?と思われる方も多いかと思いますが、実は、一口に「貝新」といってもいろいろあるのをご存じでしたか?

総本家貝新(水谷新左衛門)

総本家新之助貝新

貝新物産

総本家貝新 水谷新九郎商店

総本家貝新新七商店

と、桑名市の中だけでも何店も「貝新」があるのです。全国で見ますと、もっとたくさんあります。分家だったりいろいろ事情があるのでしょうが、ま、まぎらわしい……。

ちなみに、私が小さいころは、このうちの 新九郎商店 を使っていました。祖母の実家が桑名駅前にあったので、店舗が近かったからというのが一番大きな理由だったんじゃないかと思います。

貝新」という一つのお店と勘違いしがちですが、お値段も扱っている商品もそれぞれ違うので、少し注意が必要ですね。

偽りのアサリ?

もう一つ、アサリといえば、産地偽装のニュースが思い浮かぶという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そもそもアサリ自体、市場に出回っているうち、国産は1割だそうですので、今はほぼ外国産で、主に中国産なのかなと思います。

愛知県はアサリの漁獲量ナンバー1だそうですので、希望としては、地元産のものを使えれば一番いいんだけどな~とは思います。せっかくの名産品なら、その土地産のものを食べたいですもんね。

とはいえ、気候変動やらいろいろな原因により、日本のアサリの漁獲量はここ10年ほどで8割減になっているようですから、サンマと同様、これからはアサリも高級食材になるのかもしれません。

今後もアサリのしぐれ煮や酒蒸しやボンゴレを食べ、アサリのお味噌汁を飲もうと思ったら、日本の海の環境を改善するとともに、比較的安く手に入る輸入品の安全性をきっちり示してくれる制度も必要なのかな~なんて思ったりします。

現時点でも輸入される際にきちんと検査がなされ、中国産でも韓国産でもロシア産でも、安全は確認されているはずですので、スーパーなどには食べても全く問題ないものが並んでいるのでしょうし、加工食品にも安全なものが使われているのだろうとは思います。

でも、恐らくどの国にも国産信仰みたいなものがあって、日本人は特に国産を好む傾向があるので、かえって逆に表示偽装みたいなことが起こるのかもしれませんね。もし安全だという確信と信頼が持てるなら、むしろ外国産としてあるもののほうが、妥当な値段で買えていいのかなと私は思っています。

参考までに、これが最近のCBCテレビの報道です。


このケースでは、中国産のアサリを有明海の干潟にまき、数日たってから集めて熊本産として出荷していたという話ですが、今回はこれがたまたま明るみに出ただけで、アサリに限らず、ほかのいろいろな食材でも同じようなことがあるのかもしれません。

この報道が契機になったのか、最近では熊本産という表示のアサリを一切見なくなりましたね。

おわりに

昨今では全体的に食材が値上がりしていますが、「しぐれ」も同様に、だんだんグラム単価が上がっているようには感じられます。

とはいえ、おにぎりにも、お茶漬けにも、「しぐれ」がなくなってしまうのは悲しい。

というわけで、今日はなかなかマニアなオススメ品でしたが、愛する一品のご紹介でした。

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