【ペネロープ・バジュー『ジョセフィーヌ!』】お年ごろ女子の悩みは万国共通!フランスの「漫画」を読んでみた

こんにちは、コジです。今日は、フランス人女性漫画家ペネロープ・バジュー著、『ジョセフィーヌ』のご紹介です。

これもNo.9という認識でOKなの?

私、先日「ルーブルNo.9」展を見に行って初めて知ったんですが、フランスでは、「バンド・デシネ(BD)」、つまり日本でいうところの「漫画」九つ目の芸術ジャンルとして認識されているそうです。

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これが日本の「漫画」とは一味違うことを実感するため、何か読んでみようとググったところ、男子用の小難しいものが多そうだったんですが、まずは気軽に読めそうな一冊を選んでみました。

3年ほど前に出版された『ジョセフィーヌ!』は、アラサーのパリジェンヌが悩みを抱えながら暮らす日常を描いたものとのこと。ちょっと昔の作品ですが、いい作品ならば今読んだっておもしろいはず。これを読んでみることにしました。

「ルーブルNo.9」展ではとても芸術的な作家の作品が取り上げられていて、ああいったものをまずは参考にすべきなのかもしれませんが、「フランス語圏の漫画」のことを「バンド・デシネ」と言うんですから、これも「バンド・デシネ」であり、第9の芸術という認識で当然OKに違いありません。

日本の漫画にだっていろんなジャンルがあり、玉石混淆なんですから、細かいことは気にせず、まずは読みたいと思ったものから読んでみることにしました。

装丁の違い

判型としては、通常のコミックより一回り大きいA5判ジャケットありのソフトな表紙です。この感じのものは、最近結構よくありますよね。ページ数は180ページで、多くも少なくもないかと思います。

これは、日本の大人女子たちが気軽に手にとり、ほかの漫画と同じように読んでくれるように、また、流通・販売の便のため、日本ではこの大きさにしてあるのでしょう。ネットの画像などを見る限り、本国での出版の際は、恐らくA4ぐらいの大判で、ジャケットなしのハードカバーだったのではないかと思われます。

さて読もうと思ったら、ちょっと違和感が……。何だろうと思ったら、日本の漫画は右から左へとページを読み進めますが、これは左から右なんですね。セリフも、当然ながら、縦書きではなくて横書きです。おおーっ、何か不思議な感触です。

さらに、最終ページまで続く美しいカラー刷りには驚きました。それも、最初から最後まで同じ調子で色がついているわけではなくて、ページごとに色彩が調和しており、何というか、配色辞典のようなんです。これはぜひ一度見ていただきたい! 右ページと左ページで基調となるカラーが違っていても、並べて一緒に眺めるとばっちり調和がとれるようにできているんです。

そして、変わっているなと思ったのは、コマが四角ばかりで、しかもその角が全部丸かったこと。見た感じがソフトです。

内容はおもしろいの?

続いて、問題は内容ですよね。読んで楽しくなかったら、いくら絵がきれいでも、わざわざ読みませんもんね。

結論を言いますと、おもしろかった!

内容は「ブリジット・ジョーンズの日記」的とでも言いましょうか、何かとこじらせがちなお年ごろ女子のどたばたの日常を描いたものでした。恐らく日本人には「パリジェンヌ」に対する憧れみたいなものがあって、細身で小粋で、他人のことなんて気にせず自立しているみたいなイメージがありますが、やっぱりみんながみんなそんなわけでもないんだなと再確認。著者がパリ生まれのパリ育ちだそうですから、信憑性があります。

以下、ネタばれがありますので、前情報なく読みたい方はスルーしてください

主人公のジョセフィーヌは30代独身で、会社員として忙しく働く毎日。友達と飲みに行ったり、旅行へ行ったり、美容院や買い物に行ったり、家族との関係や彼との関係ですったもんだしたり、大きいお尻に悩んだり、脱毛したり。やっていることは、同じ年ごろの女性なら、どこの国でもそう変わりないんですね。

でも、長いバカンス、クリスマスや年越しのようなイベント時の過ごし方など、やはりフランス独自の文化が垣間見えるところもあって、興味深く読めました。宅配のお兄さんや心理カウンセラー、姪っ子、アパルトマンの世話係のような人とのやりとりなんかもおもしろかったです。

あと、子供ができても最後まで結婚という話にならなかったのは、フランスゆえなのでしょうかね。とはいえ、彼女の母親や妹は、結婚せずに妊娠したことに対して、あまりいい顔はしていなかったので、やはり考え方は人それぞれであり、どこの国にもいろんな人がいて、たとえフランスだからって簡単ではないんだろうなと思いました。

あと、ファッションがかわいかった。シンプルだけど、アクセサリーやスカーフや靴までちゃんと描いてあるので、脱力感ある絵の割には見応えがある感じがしました。お尻が大きくても膝下は細いというのは、ヨーロッパ人によくある体形なんじゃないかという気がしますが、とってもチャーミングに描けていると思います。

とにかく色彩がきれいで、見ていて気分がいいので、きっとまた読み返すことになるだろうという予感あり。パリジェンヌの現実をのぞき見てみたい方には最適の一冊です。

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