こんにちは、コジです。今日は、私の本業での経験から、もしかしたら皆さんの役に立つかもしれない情報をご披露します。
発言記録作成をしています
私、実は十云年ほど発言記録作成をなりわいとしています。いわゆる「速記士」なんですが、速記士とは何をする人か、ご存じでしょうか。ざっくり言ってしまえば、「人が話す言葉を特殊な文字ですばやく書き取り、それを普通の日本語の文章に書き起こす人」と言えます。皆さんにもおなじみなのは、国会中継のときに議長席の前で机に向かってせっせと文字を書いている人でしょうか。
発言記録をつくらなくてはいけないのは、国会だけではありません。県議会、市議会、町議会のほかにも、たくさん政府・団体・企業の会議があります。また、講演会やシンポジウムや研究会、座談会やインタビュー、大切な電話での会話、裁判の証拠になるような重要なやりとりなど、記録を残しておきたい案件はたくさんあることでしょう。
そういったご要望にお応えするため、速記士は、ご依頼があると会場へ出向いて速記をし、それを持ち帰って普通の日本語に直して納稿するという作業をしているわけです。私の場合、今はフリーランスなので、録音された音声をいただいて文字起こしをする(いわゆるテープ起こし)という仕事も承っています。
自力で議事録を作成するときのヒント
とはいえ、皆さんも、お仕事の中で会議の記録を作成するよう指示されることや、日々の暮らしの中で記録を残しておきたいと思うことがあるのではないでしょうか。
予算もないし、プロに頼むまでもないということで、上司から「ICレコーダーの録音から適当に議事録つくっといて!」とか言われたりするんですよね~。でも、そんなの簡単だろうと思いきや、やってみると意外に大変なことだと気づかれるかと思います。
そこで、そんなときに役立つよう、今日は自力で発言記録を作成する際のヒントをお教えしようと思います。
会議の前までにしておく準備
1.会場の下見(以下のことをチェックしてください)
・最も重要な話者はどこに座るか(座長、講演者、キーパーソンなど)
・ICレコーダーのベストポジションはどこか *少し下に参考記事あり
・自分の座る位置から発言者がきちんと確認できるか
2.マイクを使用するかどうかを確認
・もしマイク使用なら、マイクの音を直接録音できる機材はないか
(LINE OUT端子やイヤホンジャックがあれば、そこからICレコーダーにケーブルでつないでみて、きちんと録音できるかテストしておく)*少し下に参考記事あり
・マイクの音が反響して聞き取りにくくないか
3.進行メモの準備
超簡単なものですが、例としてはこんな↓感じで十分かと思います。
会議進行メモのテンプレート(Word)
(よかったら好きに加工して使ってください)
4.再生ソフトをダウンロード
無料の文字起こし支援ソフトをダウンロードして、使い勝手を確かめておく
(私は長らく「Okoshiyasu(Mojo氏提供)」を使っていますが、2017年2月にリリースされた「テープ起こしプレーヤー(株式会社アスカ21)」も使いやすそうです)
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会議の最中にすべきこと
1.配布資料、示されるパワポなどを手元にもらう
2.会議が始まる数分前に、ICレコーダーの録音開始を確認の上、定位置にセット
(誤ってストップボタンが押されることがあるので、必ずホールドをかけること)
3.進行メモに会議の流れを記録していく
・おおまかな時間、発言者、発言内容はマスト
・指し示した資料をきちんと記録
・「これ」「それ」、「あっち」「そっち」など、何を指したかを記録
・了承のうなずき、目での合図など、音になっていない部分を記録
・ホワイトボードに何か書かれたら、その都度写真に撮るか、手元に記録
4.会議直後、もし不明なことがあれば、その場で解決できそうなものはしておく
・発言者の名前、地名、略語、専門用語など
会議後の作業
1. 録音したICレコーダーの音声をPCに取り込む
2.作業の過程で誤操作があるといけないので、念のためコピーをどこかに保存
3.進行メモをもとに、音声再生ソフトを使って文字起こしの作業に入る
要約程度でいいのか、詳細にすべてを記載するのか、最終的にどのレベルの記録として残すべきものかは、それぞれ求められる議事録の種類にもよりますので、過去のものや他案件のものを参考にしながら、目的に沿った形へと仕上げていただければと思います。
全く一からつくる場合は、テンプレートがたくさんウェブに上がっていますので、そういったものを利用するのも一手です。
最後に
皆さん、スムーズに議事録がつくれる気がしてきたでしょうか。
ポイントは、「恥ずかしがらずにICレコーダーを置くこと」です。ICレコーダーを目立つところに置いたからといって、出席者が発言しにくくなるようなことはありません。発言すべきことは皆さん言われますし、むしろ「きちんと聞いておりますよ」という表明にもなります。
音の情報は録音以外にないんですから、特に一言一句というような詳細な記録が必要とされる場合は、成果物の出来も、作業の効率性も、そのよしあしは、いかによい採録ができるかにかかっています。だれかのくしゃみや、意外に大きな声での私語、書類をごそごそする音、ペンで文字を書くコンコンいう音、扉の開閉、空調の音などで大事な部分が欠けてしまうこともあるので、できればICレコーダーは二つ以上を離れた場所に置くことを強くオススメします。
皆さんによい発言記録を作成していただけますよう、遠くから健闘を祈っています!!